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できる範囲でRPAによる業務の効率化を行う方法とコツ

執筆者の写真: 伊賀上真左彦伊賀上真左彦

更新日:2024年12月19日



大企業の方であれば、社内でシステム開発を行える体制が整っていると思いますし、コンサルティング会社に依頼することも可能かと思います。ただほとんどの企業様はそういった状況にはなく、業務を改善したいと思いつつも何から手を付ければよいかわからないのが実情かと思います。今回はそういった場合にRPAを導入する方法、その注意点を書かせていただきます。



①プログラミングが得意な方を探す

社内でプログラミングが得意な方を探しましょう。言語等はこの場合何でも構いません。一つの言語を習得できた方は他の言語も習得できますし、大抵のプログラミング言語はRPAを作成することが可能です。見つからない場合、「プログラミングを覚えたみたい」という方を探すことになります。


プログラミングは数学的センスが必要で、数学的センスは遺伝的要素が強いといわれています。RPAに関しては中学・高校程度の数学の知識があれば十分ですので、その頃数学が得意だった方が適任かもしれませんが、一番重要なのは「やる気」です。


一般に新しいことを習得するには若い方が望ましいのですが、プログラミングで重要なのは数学的センスであり、理論的思考です。これらを持った方であれば高齢な方でも習得は可能です。



②数名程度でチームを作る

RPAを御社に取り入れる場合、最低数名以上のエンジニアでチームを組む必要があります。


専任者1名よりは兼務者数名の方が望ましいです。RPAエンジニアは習得に年単位の時間を要するという実情があります。異動等で担当者が変わった場合、蓄積した知識が消えることになりかねませんし、担当者が外出している際にRPAがトラブルを起こした際、対応することもできません。


ここで重要なのが、従業員の数が少ない企業様ですと、兼務とはいえチームを組むことは難しいのが実情です。その場合でも、社内にやる気がある方がいらっしゃる場合その気持ちを引き出してあげた方が良いと思いますが、外部に協力を求めることも方法です。御社と関係が強い企業様がありましたら、そちらと勉強会的にチームを組むことも有効です。



先ほどのメンバーを中心にチームを作りますが、ここで注意点は最低1名、スキルが高い方を入れる方が望ましい、という点です。


一人スキルが高い方がいると他のメンバーはその方に教えてもらうことで効率的に成長することが可能となりますが、そういった方がいない場合、独学で習得する必要が生じます。この場合スキルアップの速度が大きく遅れます。また簡単に自動化できる業務が自動化不可能と判断され放置される懸念もあります。


この核になる人材を社内から確保できれば良いのですが、難しい場合社外に頼ることになります。現状RPAエンジニアの標準的な単価は月額70万円程度と高額になっています。手当等含めれば年収1000万円を超えることもあるでしょう。チームのリーダーをこなせる人材は、それ以上の金額を要求すると思います。


とてもそんな金額は用意できない場合、専任者を雇用するのではなく、週に一回、もしくはメール等で相談に乗っていただえる方をスポットで雇うとよいと思います。


ここで知っていていただきたいのが以下の言葉です。


グーグルの上級副社長を務めるアラン・ユースタス氏は、「一流のエンジニアは平均的なエンジニアの300倍の価値がある」と語っています。


ビルゲイツは、「優秀な旋盤工の賃金は平均的な旋盤工の数倍だが、優秀なソフトウェア・プログラマーは平均的なプログラマーの10,000倍の価値がある。」と語っています。


実はRPAエンジニアは個人ごとのスキル差が極めて大きい職種です。初心者は人間が行って数分程度の作業を自動化するのが限界かもしれませんが、上級者は数人の方が専任で行っている作業を数日で自動化してしまう場合もあります。


社内にこういったスキルをお持ちの方がいる場合大切に扱った方が良いと思いますが、いらっしゃらない場合、外部の補助を受けましょう。



③業務効率改善にインセンティブを与える

チームができましたら実際に彼らに開発を行っていただきますが、ここれ重要なのが、実際に業務改善に成功した場合、なんらかのインセンティブを与えるという点です。


日本企業が行ってしまいがちなのが、業務効率改善を軽視する傾向があるという点です。営業職に関しては受注に応じインセンティブを与えますが、現場や開発職に対して与えていらっしゃる方は少ないと思います。あっても一回数千円程度だったりします。


こういった場合を想像ください。


ある現場社員が業務効率を大きく改善する方法を思いつきました。その方法を使うと、今まで一日かかっていた作業が半日で終わります。


この方がこの方法を上司に対して提案します。上司はよくやった、とはいいますが、結果として彼の給料が上がることはありませんし、その分早く帰宅してよいともいわれません。空いた時間で他の仕事を行えと言われるのが一般的です。


これが多くの日本企業が行ってきた間違いで、日本の労働生産性が先進国中最下位まで落ち込んだ理由だと思います。特に終身雇用が維持されている企業様ですと、社員は改善より波風を立てないことに注力する傾向があります。


RPAエンジニアに限らず、業務効率を改善した方には適切にインセンティブを与えるべきです。大幅な昇給が難しい場合、社員を集めた場でその方の実績を褒める、もしくは他の業務の比重を下げ、業務効率改善に使える時間を増やしてあげましょう。


これは本人のやる気を高めるだけではなく、それ以外の社員に対しては効果があります。


勉強用の書籍の購入を補助する、社外のセミナーに参加する交通費等を補助するのも有効です。社内に本棚がない企業様は、社員が自由に借りて勉強できる本棚も作った方が良いと思います。


④業務の仕分けを行う

いよいよ自動化の作業に入りますが、最初に行うのは業務の仕分けです。


1)継続する業務とやめる業務を仕分ける

2)継続する業務に関して、可能な範囲イレギュラーな作業を排除して簡略化する。

3)残った業務の中で、自動化するものとしないものを仕分ける。


以上のようなプロセスで行いますが、こういった作業はBPR(ビジネス プロセス リエンジニアリング)と呼ばれています。


RPAでの業務自動化を行う上で、こういった作業は不可欠です。


ここ最近のRPAブームでRPA化それ自体が目的になっている例もありますが、本来行いたいことは業務効率改善ではないでしょうか?


BPRによる業務効率改善、品質の向上こそ最終目的で、RPAはそれを達成する手段の一つにすぎません。BPRを行うには、まずは業務の仕分けが必要です。


業務の仕分けの中で最も効果を発揮するのは、「やめる業務を決めること」です。

これはRPA以上の改善効果を生みます。


続ける業務の中で自動化した場合の効果が大きいものから順番に自動化します。具体的には、


・作業時間が長いもの。

・人間的判断が不要な自動化しやすい作業であること。

・行う回数が多い作業であること。


などがRPA化に適しています。


その作業をRPA化するか考える際に重要なのは、RPAの開発は人間が作業する場合の数十から数百倍の開発時間がかかる、という点です。


例えば人間が行って5分の作業があったとします。それをRPAで自動化する場合、短くて数時間、長いと1週間を要する場合もあります。実行する回数が多い作業でしたら1か月程度で開発コストを回収できる場合もありますが、回数が少ないものは永久に回収できなとおもいます。


ただ、開発にかかるコストはエンジニアのスキルアップに従い、劇的に短くなる傾向があります。当初は数日かかっていたプログラムが、過去に作成したプログラムを流用することで数時間で完成することもあるかもしれません。


エンジニアのスキルが上がるまでの間は、「自動化できる作業を自動化する」という考え方も必要です。




今回はここまでとさせていただきます。RPAもAIも含めてですが、その進め方は全ての企業様に適応できる正解というものはありません。各社が自分たちに適した方法を探すしかありません。


その中で、もし私たちにご相談いただければ何らかのご提案ができるかもしれません。お知り合いの信頼ができる方に見ていただくのもよいと思います。


一つ、絶対に行ってはいけないのは、業務効率を飛躍的に高める魔法の杖を探してしまうことです。そのようなものは存在しませんし、杖の探索にかけた時間と費用は無駄なものになるとなります。


業務の効率を上げるには、人と組織を地道に改善していくより他に方法はありません。


ただ、社内で業務改善を行っても今までの考え方を脱するアイディアが出てこないことが多く、外部にそれを求めることは重要です。


その時に忘れてはいけないのは、コンサルティング会社に高額な費用を積むと改善するわけではない、という点です。



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