
2025年1月13日、OpenAIがブループリントなる新しい方針を発表しました。
要約
OpenAIの経済青写真は、米国がAIのメリットを最大化し、国家安全保障を強化し、経済成長を促進するための政策提案を概説しています。この青写真は、AIイノベーションにおける米国の世界的なリーダーシップを拡大し、AIへの公平なアクセスを確保し、全国のコミュニティ全体で経済成長を促進するための政策提案を示しています
この中に非常に気になる言葉があります。
・チップ、データ、エネルギー、才能がAIで勝つための鍵であり、これは米国が勝つことができる、そして勝たなければならない競争です。
・米国がこれらの資金を引き付けなければ、中国が支援するプロジェクトに流れ込み、中国共産党の世界的な影響力が強化されます。
・私たちが国内の政府との関係を築き、世界中の同盟国との出発点として築くことができると信じていることを示しています。
私はこのブループリントを見て衝撃を受けました。OpenAIは世界平和のためにAIを開発していると考えていたのですが、違ったのです。アメリカのため、中国共産党と戦うためのAI
です。事実上、一般的なIT企業から軍事企業へ変わることを宣言しました。
この中で最も気になるのは中国共産党という文字です。OpenAIとしては不必要に敵を増やしたくはないはずですが、なぜこのような言葉を入れたのでしょう?アルトマン氏が最終判断したのは間違いないですが、この言葉を入れたかった人がどこかにいるはずです。
変化点は元陸軍大将、ナカソネ氏が役員になった日?
OpenAIが軍事企業として生まれ変わる大きな変化点は、元陸軍大将、ナカソネ氏が役員として加わった、2024年6月にあります。彼に与えられたミッションはアメリカ政府、およびアメリカ軍とOpenAIの関係を構築、先ほどのブループリントを発表する下準備を行う事だったと今になると想像できます。
更に振り返ると、サム・アルトマン氏は2023年11月18日、OpenAIのCEOから解任され、のちにMicrosoftの協力で復帰しています。
アルトマン氏の解任の理由
AI安全性の取り扱い: アルトマン氏がAIの安全性に関する問題を適切に対処していないとされました。
取締役会とのコミュニケーション: 取締役会との透明性の欠如や、正直なコミュニケーションが不足していたとされました。
心理的虐待: アルトマン氏が取締役会のメンバーに対して心理的虐待を行っていたという疑念が浮上しました。
会社の安全プロセスに関する不正確な情報提供: アルトマン氏が会社の安全プロセスに関して不正確な情報を提供していたとされました。
ここからは完全な想像ですが、2023年の解任事件の時点で、アルトマン氏はOpenAIを軍事企業として改革することを考えていたのでしょう。それを感じ取った役員会が彼を解任した可能性が、今となっては否定できません。
MicrosoftはOpenAIの軍事企業化を容認するか?
答えはもちろん否です。中国とも良好な関係を維持するMicrosoftが、中国共産党を敵対視するOpenAIを認めることはないでしょう。今回発表されたブループリントで、MicrosoftとOpenAIの関係は完全に破綻したと考えられます。実際にはその前から破綻していて、OpenAIがMicrosoftに代わる新しいスポンサーを探していたと考えらえます。
軍事企業化はOpenAIにとって最後の手段
OpenAIはなぜこのようなことを行ったのでしょう?理由は、AGIやASIの開発に必要な莫大な資金を確保するためです。MicrosoftはAGIの完成を望んでおらず、OpenAIとの契約にAGI条項を加え、AGIが完成すると同時にOpenAIとの契約が切れるようにしたくらいです。Googleが出すわけはありませんし、appleからも拒否されました。次世代のAI用データセンターの建築には15兆円が必要ともいわれます。それを用意できるのはGAFAMくらいしかありませんが、そのGAFAMはすでに断られたか、独自にAIを開発していてアルトマン氏に頼る必要がありません。もはやアメリカ政府、および軍しか頼るところがなくなったのです。
アルトマン氏の最大誤算、トランプ政権誕生
アルトマン氏はブループリントを1年以上前から準備していたでしょうが、最後の最後で誤算が生じました。2024年11月のトランプ氏の当選です。トランプ氏の腹心となったマスクしはアルトマン氏を「詐欺師」「大ウソつき」と呼び、裁判も行っています。アルトマン氏がアメリカ政府や軍と組める可能性はほぼなくなりました。
アルトマン氏最後の希望
Microsoftとの関係が悪化。アメリカ政府や軍との関係も期待できなくなったアルトマン氏。彼にとって唯一残された可能性は、トランプ氏とマスク氏の関係の破綻でしょう。トランプ氏とマスク氏は考え方がいくつかの点で大きく異なっています。またアメリカ政府や軍も一枚岩ではありません。一部はOpenAIとの関係構築を望むかもしれません。
アルトマン氏が核電力企業の会長を務めていることも忘れてはいけません。お金に色はないと言いますが、電力にも色はありません。アルトマン氏が作るAIを問題視する人はいるでしょうが、彼が作る電力は別かもしれません。今回のOpenAIの発表は、むしろ電力の点でアメリカ政府との関係を強化するものであるかもしれません。アルトマン氏はOpenAIの株を一切持っていません。最悪、OpenAIがつぶれても彼としては痛くもかゆくもないでしょう。
ASIの開発はどうなる?
OpenAIは汎用人工知能AGIの開発をほぼ完了。人工超知能ASIの開発に移行していいます。ただこの1年でAIの開発に詳しいほとんどの役員は退職しましたし、多くのエンジニアもいなくなりました。o1に至ってはわずか数か月で他社からo1級、もしくは超えるAIが登場する始末。技術的優位性はほとんどなくなっていると言えるでしょう。最大のスポンサーであるMicrosoftを失い、アメリカとの関係も不透明。今のOpenAIがASIの開発に関して世界をリードできる可能性は低いでしょう。おそらくASIはGoogleか、xAI、中国企業などが先に完成させる、というのが私の予測です。仮にOpenAIが先に開発したとしても、それはアメリカ政府のための、中国共産党と戦うためのAIで、私たちが仕事で使うものではないでしょう。
私はアルトマンCEOに対して深い失望を感じています。彼の真意はどこにあるのでしょう?私たちが知らない情報を持ち、それに備えるためにこのような行動を行った、という可能性もゼロではありません。おそらくからの中ではASIを完成させるのが最優先で、それいがいは些末事に過ぎないのでは、とも考えてしまいます。
私は業務自動化の専門家として、OpenAIが開発するAIを注視していました。彼らが軍事企業に代わる場合、もはや私たちが使うべきAIではなくなるのかもしれません。
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