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DeepSeekショック!どうなるSoftBank & OpenAI、一世一代の賭けに打って出た孫氏の運命は?

執筆者の写真: 伊賀上真左彦伊賀上真左彦

SoftBaがOpenAIの筆頭株主になるなる方向であることがわかりました。



OpenAIとMicrosoftの関係が悪化していること、SoftBankが次の筆頭株主になることを狙っている、というのは私の予測通りでした。


OpenAIとMicrosoftの関係悪化の根拠

・両社がこの半年ほど、互いに競合するサービスを多数リリースしている。これは関係が解消されたあとの準備と考えられる

・SoftBankが2024/10/3に以下の発表を行った。このAIの進化はOpenAIもMicrosoftも発表していないもので、これを出した時点でOpenAIとの強い関係が予測された

・MicrosoftからOpenAIへの追加の資金提供がここ最近行われていない

・OpenAIがBlackRockから2025/1/14に役員を迎えた。世界最大の投資会社で、Microsoftに代わる資金調達源の確保が目的と推定される


他にも大量に根拠はあったのですが、孫さんとアルトマンさんが古くからの友人で、2人の性格から考えてもMicrosoftのかわりにSoftBankが筆頭株主になるのは必然でした。問題はMicrosoftが資金を確保できるかだけです。


70兆円、スターゲイト計画黒字化の目途は?

マスク氏が指摘するようにこの金額、SoftBankは用意できるのでしょうか?出来たにしてもOpenAIは赤字を垂れ流している企業で、黒字化は2030年以降とされます。2030年も適当な計画で根拠があるかは不明です。


もう一つ、70兆円とされる金額の中、OpenAIに投じる4兆円はかなり少ない金額です。これはMicrosoftに代わりOpenAIの筆頭株主になるだけのための金額でしょう。スターゲイト計画の事業規模は70兆円とされますが、これはMicrosoftが自社のデータセンターを整備する費用13兆円とか、さまざまな金額を加えたもので、OpenAI社やスターゲイト社に投じる金額はかなり少ないと私は予測します。下手をすると今回の4兆円がほぼ全額かもしれません。SoftBankのビジョンファンドの規模は20兆円とされています。4兆円を新たに調達するのは楽ではありません。


スターゲイト計画が黒字化する目途は結論としては無いのですが、そこは孫さんなりの目論見があるのでしょう。一般に、新規事業の成功率は「千三つ」とされます。千件立ち上げて三件成功です。これより成功率が高ければ、それは筋が良い、ということになります。


また、お金というのはしょせん紙に書かれた数字にすぎません。それに国家なりが信用を与えることで価値が生じます。孫さんは仮にスターゲイト計画が失敗しても「次はもっともうまくやります」と発表して終わりでしょう。これが一般的な経営者の金銭感覚です。


また、バイデン政権はAIをABC兵器に匹敵するリスクと発表しています。トランプ政権でもこれは引き継がれるでしょう。その場合、仮に利益が出なくともアメリカ政府として資金を供給し続けるしかありません。そこも含めればかなり筋が良いビジネスです。


また、マスク氏はAIが進化した場合、最終的にお金は意味がなくなると予測しています。私も同じ予測をしていますし、孫さんも同じでしょう。どうせ意味がなくなるなら、ここで使い切ろう、という考えも持っているでしょう。


最大のリスクは中国にあり

比較的筋が良いスターゲイト計画ですが、最大のリスクは中国です。1つはDeepSeek社が発表したAIです。ここ最近、OpenAIが発表するAIは精彩を欠いていました。動画生成AIは先行する他社より性能が劣っている印象でした。初のレベル3のAGI、Operatorも先行する他社と同等か劣っている程度。さらに主力のLLMでも他社に負けたことがDeepSeekショックで明確となりました。


OpenAIはアルトマンさん解任事件以降、多くの役員や技術者が離脱しています。現状、他社に先駆けて新しいAIを開発できる能力は無い可能性が高いのです。役員やエンジニアを育てていては今のAI戦争には間に合いません。他社から引き抜く必要があります。仮にGoogleから引き抜いたらどうなるでしょう?AIに詳しい役員がいない今よりは状況が改善しますが、それではGoogleより優れたAIは開発できません。


現状考えられるもっともよい手は、DeepSeek社を買収する方法です。ここで問題になるのはスターゲイト計画です。これはアメリカ政府と関係するプロジェクトで、OpenAIは先日発表したブループリントで中国共産党と戦うことを宣言してしまいました。スターゲイト社のHPはまだ存在しないようですが、おそらくはアメリカ政府に協力し、中国と戦うことを記載しなくてはいけません。トランプ政権が許しません。


実はスターゲイトやOpenAIがDeepSeek社など中国勢と組める可能性はすでになくなっています。孫さんはスターゲイト社の会長になりましたが、彼は中国との関係が深い人物です。


スターゲイト計画成功には、スターゲイト社が世界トップの技術力を維持する必要があります。Googleより劣っている企業をアメリカ政府が支援する必要はありません。そのためにはDeepSeek社や、孫さんと関係が強いアリババ社との連携が不可欠と考えますが、その可能性がなくなっています。スターゲイト計画は利益を出すかどうかより、世界トップの技術力を維持できるかの方が余程重要です。


この時最大の障害になるのはDeepSeek社です。OpenAIにお金を投じないでもDeepSeek社が無料で同等以上のAIを公開するならそれまでです。


おそらく孫さんは人脈をフル活用し打開策を探すでしょうが、Google社等との戦いになりますので、可能性は低いです。ただGoogle社は規模が大きく、軍事に特化した企業に転身することが難しいです。OpenAIが軍事特化の、アメリカ政府のための企業となった場合、アメリカ政府に対してある程度の価値を見出すことができるでしょう。


ASIを開発するのが誰か?

孫さんがOpenAIに興味を持ったのは、人口超知能ASIを最初に開発し、自分たちの手で世界を塗り替えることです。孫さんの年齢から考えても、これが最後の賭けになるでしょうし、最大の賭けでしょう。DeepSeekの件もあり、成功率は10%以下に下がっていると考えられます。それでも一般的なビジネスと比較すれば高い方とは言えます。10%以下ながら、世界を自分で塗り替えられる可能性があるのですから。


ただ、中国との関係が強い孫さんです。今となってはGoogleやAnthropic、Amazonの連合とも戦わなくてはいけないアメリカより、DeepSeekやアリババと組んで中国市場で戦った方が余程有利でした。これは孫さんも気が付いているでしょうし、失敗した、と考えているでしょう。SoftBank内で孫さんに匹敵する仕事をこなせる人がいたら、その人をスターゲイト社の代表にして自分は身を引く手もあるでしょう。孫さんは世界トップのAI企業のトップ、という信用を手に入れたかったのでしょうが、OpenAIやスターゲイト社はすでにそれではなくなっていると考えられます。現状、中国が世界初のASIを開発する可能性が50%前後に高まっています。


OpenAIが2025/1/13に発表したブループリントではOpenAIが中国を明確に敵として定義しています。IT企業としては異例のことです。おそらくトランプ政権からの要求でしょう。USスチールの件を見ると明白ですが、アメリカはすでにAIをABC兵器に匹敵するリスクと位置付けています。その状態で中国との関係が強い孫さんがOpenAIの筆頭株主になることを許すでしょうか?許す条件として、今後中国と戦います、という宣言を行わせました。本当はSoftBankがその宣言を行うべきでしたが、さすがに困難でOpenAIに代行させ、いったんしのいだのでしょう。



今後スターゲイト計画が本格化するにつれ、同じことをSoftBank社や、スターゲイト社もトランプ政権から要求される可能性が濃厚です。時間経過とともに中国と孫さんの関係は悪化すると考えられ、当面は綱渡りのビジネスが続きます。









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