小さな市場で、最初に思い出される存在になる。ニッチトップで新規事業を立ち上げる方法


本記事をAIで動画にしました。
今回は、書籍『集中力ファースト』をベースに、「ニッチトップ」として新規事業を立ち上げる方法を解説します。
私は「Outlook研修」「集中力研修」などの分野に集中し、経験と実績を積み重ねてきました。その結果、規模は小さくても、特定のテーマでは最初に思い出してもらえる立ち位置を築くことができました。
誰もがニッチトップを目指す必要はありません。しかし、会社員として働く人にも、副業を考えている人にも、「自分の強みをどこで生かすか」というヒントになるはずです。
もちろん、読み終わった瞬間に会社を辞める必要はありません。まずはお茶でも飲みながら、自分なら何ができそうかと考えてみてください。
ニッチトップとは、小さな市場で最初に思い出される存在
ニッチトップとは、特定の小さな市場で、強い支持や存在感を持つことです。
例えば、「研修業界全体で一番になる」と考えると、競争相手は膨大です。一方、「Outlookを使った業務効率化の研修」という分野に絞れば、必要な専門性も、対象となる顧客も、競争相手も変わります。正直、他の研修をやりながら、Outlookの研修も行っている、という人がほとんどです。こういった小さい市場にあならの全力を、年単位で投じれば、そこでトップに立つことは難しくはありません。
目指すのは、「このテーマなら、まずこの人に相談したい」と思い出される存在です。
世間全体では無名でも、ある困りごとを抱えた人たちには、よく知られている。家族には「パソコンに詳しい人」と少し雑に紹介されても、顧客からは専門家として頼りにされる。そういう立ち位置です。
ニッチトップには、次のようなメリットがあります。
専門性を評価してもらいやすく、価格だけの比較から抜け出しやすい
限られた時間や資金を、得意な領域に集中できるため、時間がない人や副業でも対応しやすい
実績と信頼を積み重ねることで、継続的な相談や紹介につながる
市場と収益モデルによっては、年収数千万円以上を目指せる
ただし、小さな市場でトップになれば、必ず高収入になるわけではありません。顧客の数や支払い意欲、商品単価、提供にかかる費用によって、事業の可能性は変わります。
参加者が自分一人なら優勝は容易ですが、賞金まで自動的に出るわけではないのです。
先行者から学び、自分が選ばれる理由をつくる
以前から、先行者のビジネスを参考にして後から市場へ参入する、「2番手商法」と呼ばれる方法があります。
すでに顧客と需要が存在するため、商品や売り方を学びやすい点がメリットです。先行者の試行錯誤を参考にできるため、何もないところから始めるより、事業の形も想像しやすくなります。
しかし、インターネットによって商品や会社を簡単に比較できるようになり、単に先行者を真似るだけでは選ばれにくくなりました。顧客から見れば、実績のある1位の商品を選べば済むからです。わざわざ似た商品を提供する2位以下を選ぶには、それなりの理由が必要になります。
現在は、品質や価格だけでなく、専門性、実績、対応の仕方、仕事に取り組む理由、商品が生まれた背景なども評価されます。「ストーリーマーケティング」と呼ばれる手法です。
先行者から学びながら、対象顧客、品質、使いやすさ、提供方法などに、自分ならではの価値を加えることが必要です。
有名店のメニューを写しただけでは、有名店の味にはなりません。立派なメニュー表と、なぜか焦げた料理だけが残る可能性もあります。
学ぶべきなのは、目に見える商品だけではなく、「なぜ顧客に選ばれているのか」という仕組みです。
インターネット時代、他人を真似る2番手商法は選ばれにくくなっています。対してニッチトップは、自分の経験や個性を生かしながら、選ばれる理由をつくりやすい戦略なのです。
「選ばれるアイドル」を考えると、ニッチがわかる
ニッチトップの考え方は、アイドルを例にするとイメージしやすくなります。
仮に、自動車のイベントに出演者を呼ぶとしましょう。
歌やトークが上手な人に加えて、普段から車への愛情を語り、車種や整備について詳しく発信している人がいたら、どうでしょうか。
主催者は、「来場者と話が合いそうだ」「車の魅力を伝えてくれそうだ」と考えるでしょう。その人を選ぶ、明確な理由が生まれます。
「好きな車は何ですか?」と聞かれて、「白いやつです!」と答える人も、別の意味では会場を沸かせてくれるかもしれません。ただ、車について深く語ってほしいイベントなら、やはり詳しい人に依頼したくなります。
ここで評価されるのは、アイドルとしての魅力に、車の知識や発信の積み重ねが加わったことです。
アイドルとしての力 × 車への知識と愛情 × 伝える力
この組み合わせによって、「アイドル全体」の競争から、「車のイベントで活躍できるアイドル」という、より具体的な市場へ移れます。アイドル業はとても大きく、「地下」や「予備軍」を含めれば10万人を超えるかもしれません。
しかし、自動社に詳しいアイドルといえば100人1人いるかどうか。さらにトヨタなど、特定のメーカーを好きな人は数分の1。特定の業界に絞ることで、「あなたが選ばれる確率」が一気に高くなるのです。
複数の能力を組み合わせ、自分ならではの価値をつくる。この考え方を「タレントスタック」といいます。
一つひとつの能力で、業界最高になる必要はありません。それぞれを仕事で役立つ水準まで高め、組み合わせることで希少性をつくります。
私の場合も、ITの知識、教える力、業務改善の経験などを組み合わせてきました。皆さんにも、これまでの仕事や趣味を通じて育ててきた力があるはずです。
まずは、次の問いから考えてみてください。
「自分の持っている力を組み合わせると、誰にとって頼れる存在になれるだろうか」
目標年収を決め、少し先を歩く人から学ぶ
ニッチトップを目指すなら、自分がどれくらいの収入を得たいのかを考えましょう。
年収500万円、1,000万円、2,000万円。正解はありません。自分が望む暮らしや働き方に合った数字をまずは設定します。
目標を決めたら、その収入や働き方を実現している人を探します。知人の紹介、業界の交流会、書籍、インタビューなど、探す方法はいくつもあります。
可能であれば、次のような点を聞いてみてください。
どのような顧客に、何を提供しているのか
どの仕事が収益の中心になっているのか
顧客はどこから来るのか
安定するまでに、何を試してきたのか
どれくらいの時間と費用がかかっているのか
成功した結果だけでなく、その結果を支える事業の仕組みを見ることが重要です。
ただし、初対面でいきなり「年収はいくらですか?」と聞くと、仕組みを教えてもらう前に会話が終わるかもしれません。相手が話せる範囲で、仕事の組み立て方を学びましょう。
相手が友人や親戚であるなら、親身になってあなたの話を聞いてくれる可能性が高いです。その中で、「この人なら」という人を見つけ、徹底的に模倣しましょう。
目標より一歩先の人をロールモデルにする
自分が進む道の参考になる人、つまりロールモデルを探すことは、とても大切です。
できれば、自分の目標よりも一歩先を実現している人から学びます。
例えば、年収3,000万円を目指すなら、5,000万円規模の収入を実現している人の事業構造を調べてみる。
人によって、経験、人脈、得意分野、使える時間は異なります。同じことをしても、同じ結果になるとは限りません。だからこそ、目標より少し先を歩く人を参考にし、想定より成果が小さくても、望む場所に近づける設計にします。
理想どおりに進まなくても、望む暮らしに近づける事業をつくる。
成功した場合だけでなく、売上が想定より少ない場合や、成長に時間がかかる場合も考えておきます。
ロールモデルは、自分の代わりに人生を生きてくれる人ではありません。学べる部分を取り出し、自分の条件に合わせて組み直していきましょう。
「相場」と「利益が残る仕組み」を確かめる
目標収入を決めたら、商品やサービスの相場を確認します。
それぞれの市場には、「この内容なら、おおよそこの価格」という基準があります。相場を超える価格を設定することは可能ですが、その場合は、高い価格に見合う価値を説明しなければなりません。実際には非常に困難なのです。
「私が年収2,000万円を目指しているので、この料金です」と言われても、顧客は困ってしまいます。応援はしてくれるかもしれませんが、請求書への同意は別の話です。
顧客がお金を払うのは、自分にとって価値があるからです。
作業時間を減らせる
失敗や損失を防げる
売上の増加につながる
自分だけでは得られない知識が手に入る
特別な商品や体験を得られる
自分の商品が、どの価値を提供するのかを明確にします。
目標年収を掲げたら、それを支えられる売上と利益の構造まで考える。
この視点を持つことで、好きなことを、長く続けられるビジネスへ変えていけます。
相場は主に、業種と場所によって決まります。同じ寿司屋でも、日本とニューヨークでは相場がまったく異なります。業種だけでなく、場所を変えるのも選択肢です。
一つの専門テーマから、異なる収益の柱をつくる
市場と提供価値が決まったら、次は事業全体の設計です。
本書では、性質の異なる二つのビジネスを組み合わせる方法を紹介しています。
タイプ | 基本的な考え方 | 主な例 |
Aタイプ | 仕組みを整えた後は、日々の手間が増えにくいビジネス | 情報販売、書籍、仕組み化した商品販売 |
Bタイプ | 時間と労力が必要だが、1件あたりの報酬が大きいビジネス | 研修、コンサルティング、個別設計 |
Aタイプは、最初に商品や販売の仕組みをつくり、その後は販売数が増えても、自分の作業時間が同じ割合では増えないビジネスです。
「手間はかからないが、1件あたりの利益は小さい」という特徴があります。ただし、立ち上げには相応の労力が必要です。立ち上げ後は、ほとんど手間をかけないように設計します。
寝ている間に売れる仕組みでも、その仕組みをつくっている間は、起きて働く必要があります。
一方のBタイプは、顧客ごとの対応に時間を使い、個別の課題に深く関わるビジネスです。手間はかかりますが、その分、高い付加価値と大きな報酬を得やすくなります。
この二つを組み合わせることで、売上の入口を増やしながら、一方の弱点をもう一方で補うことができます。
外国人旅行者向けのお土産ビジネスなら
例えば、外国人旅行者向けのお土産を専門に扱う場合、次のような事業が考えられます。
事業 | 内容 | タイプ |
お土産の製造・販売 | 製造を外部に依頼し、自分はデザインや販売の仕組みづくりに注力する | A |
SNSによる情報発信 | 製造工程や商品の魅力を発信し、販売や広告収入につなげる | A |
書籍販売 | お土産づくりの知識や経験を体系化して販売する | A |
オーダーメイドのお土産 | 顧客の希望に合わせた特注品を制作する | B |
お土産づくりのワークショップ | 手づくりを体験できる講座を開催する | B |
新規参入者向けコンサルティング | お土産事業を始めたい人へ、経験をもとに助言する | B |
例えば、特注品を1点5万円以上、ワークショップを1人1万円、コンサルティングを1時間10万円としています。これは市場相場を示したものではなく、事業を設計するための一例です。
重要なのは、一つの専門テーマを、異なる形の商品やサービスへ展開することです。
複数の事業を相互につなげる
収益の柱を複数持つ価値は、売上の入口が増えることだけではありません。
例えば、次のような流れをつくれます。
SNSで製造工程を見た人が、お土産を購入する
既製品を気に入った人が、オーダーメイドを依頼する
ワークショップの参加者が、完成品も購入する
書籍を読んだ人が、コンサルティングを申し込む
個別相談で得た知見を、次の商品や書籍の改善に生かす
一つの商品が、次の商品を知ってもらう入口になります。それぞれが独立しているのではなく、顧客、知識、実績を共有する仕組みです。
もちろん、すべてが大きく儲かるとは限りません。現実には、一つの事業が大きな利益を生み、ほかの事業はプラマイゼロか、赤字、というケースも多くあります。
それでも、ほかの商品が集客や信頼づくりに役立ち、事業全体で利益が残るなら意味があります。また、パンデミックのような大きな地殻変動があった場合、いままで儲かっていなかったビジネスが急に主力に変わることもあります。
ただし、「これは宣伝になるから」と赤字を放置しないことも大切です。その言葉は便利なので、気を抜くと経費が全員、宣伝部員を名乗り始めます。
各事業の売上だけでなく、集客効果、作業時間、他の商品への波及効果まで含めて判断しましょう。
複数の可能性を考え、実行は一つずつ進める
複数の収益の柱を考えても、最初からすべてを始める必要はありません。
商品販売、SNS、書籍、ワークショップ、コンサルティングを同時に始めると、ニッチトップになる前に「いつも忙しい人」になってしまいます。
まずは複数の可能性を書き出し、その中から、利益が出やすいものや、自分が取り組みやすいものを一つ選びます。それを試し、反応を確認してから、次の商品へ進みます。
お土産ビジネスなら、小規模な商品販売から始めてもよいでしょう。すでに教える力や顧客との接点がある人なら、ワークショップから始める方法もあります。
そこで得た反応や知識を使って、商品を改善します。十分な手応えが得られたら、関連する事業を一つずつ増やしていきます。
設計では複数の可能性を持ち、実行では一つのテーマに集中する。
事業の完成図は広く描き、今日の仕事は一つに絞る。この進め方なら、手を広げすぎずに可能性を育てられます。
固定費を抑え、育つまで続けられる形にする
新しい市場では、商品の価値がすぐに伝わるとは限りません。知ってもらい、試してもらい、信頼されるまでには時間がかかります。
私自身も、ビジネスが安定するまでに3年ほどかかりました。それまでは、新規事業からの収入がほとんどない時期が続きました。
その経験から、初めてニッチトップを目指す人には、仮に5年間、新規事業から十分な収入を得られなくても、生活を維持できる設計を勧めます。
必ず5年かかるという意味ではありません。成果を急ぐあまり、生活費が足りなくなり、可能性のある事業まで途中で諦める状況を避けるためです。
その意味で、本業の収入を保ちながら、副業として始める方法は現実的です。
長期戦を可能にするため、まずは次の三つを検討します。
店舗や倉庫を借りず、ネットを活用する
最初から人員を固定で雇わず、必要な仕事だけ外部へ依頼する
オフィスを借りず、自宅や時間貸しの場所を活用する
私の知り合いにはニッチトップと実現している人が多いですが、ここ数年、ほとんどが自宅か、レンタルオフィスに移行しています。
オフィスを借りると、月に50万円から100万円は普通にかかります。年収数千万円の人でも、その金額を払い続けるのは難しいことです。
立派なオフィスを借りると、事業が始まった実感は得られます。ただ、顧客より先に家賃の請求が毎月きちんと来ます。こちらは集客しなくても来てくれます。
新規事業は、当初の想定どおりに進まないことが珍しくありません。経験を積んだ人ほど成功の確率を高められますが、初めての挑戦では、商品や市場の選び方を誤る可能性があります。
だからこそ、最初は「時間はかけるが、大きなお金はかけない」を徹底します。
売上が少ない時期にも発生する固定費を抑えれば、失敗してもやり直せます。最初の商品が売れなくても、顧客の反応から学び、次の案を試せます。
大きく賭けて一度で当てるより、小さく試して修正できる状態を保つことが重要です。
ニッチトップには二つの道がある
ニッチトップを目指す道は、大きく二つに分かれます。
1.既存市場へ参入し、先行者を超える
一つ目は、すでにニッチトップと呼べる人や企業が存在する市場へ参入する方法です。
既存市場には顧客と需要があり、先行者の販売方法や商品構成を研究できます。そのため、市場そのものを一からつくる必要がありません。
ただし、先行者と同じ商品を、同じ方法で売るだけでは選ばれません。
品質を高める
対象顧客をさらに絞る
利用しやすい形に変える
異なる経験や能力を組み合わせる
先行者が対応していない課題を解決する
こうした違いを加え、自分が選ばれる理由をつくります。
やり方を間違えると、先行者を真似ただけの人、と認識され、実績を積むどころか、再チャレンジも難しくなる可能性があることを忘れないでください。
2.新しい領域をつくり、最初の専門家になる
二つ目は、まだ誰も注目していない領域を見つけ、その市場を育てながらトップになる方法です。
競争相手が少ないため、早い段階から第一人者として認識される可能性があります。一方で、競合がいない理由は慎重に確かめなければなりません。
まだ誰も気づいていない機会なのかもしれません。しかし、顧客が少なく、対価を払うほどの需要がない可能性もあります。法的に問題があるケースも、既に多くの人がチャレンジし、撤退したケースもあります。
「競争相手が一人もいない。すごい市場を見つけた!」と思ったら、お客さんも一人もいなかった。これでは、ブルーオーシャンというより、貸し切りの空き地です。
まずは小さく商品を出し、本当に購入する人がいるかを確かめます。需要がなければ、いつまでも同じ場所で待たず、築いた専門性を生かせる周辺市場へ移ります。
例えば、模型づくりの技術と自動車の知識を組み合わせ、「実車のように動く自動車模型」という領域に挑戦するとします。
個人向け市場だけで十分な需要が得られなければ、自動車会社の展示用模型、販売店の説明用モデル、イベント用の展示物など、隣接する法人市場へ広げる方法があります。
最初に選んだ小さな分野は、自分の技術と信頼を育てる拠点です。そこで得た実績を持って隣の市場へ進めば、ゼロから参入するよりも有利になります。
まずは「自分でも勝てる」と思える小さい市場で1位になる。それで十分に利益がでなかったなら、その経験や実績を携え、周辺の領域でも1位になってください。
勝利条件は1つではない。自分がやりがいを感じられることに、楽しんで取り組む
ニッチトップは、本来、「年収数千万円、もしくはそれ以上」を比較的少ない負荷で実現するための手法です。詳細は書けませんが、筆者の周辺では「3Dプリント」「◯◯研修」「◯◯情報保護」など、聞いたことも無いような業界で密かに高収益を上げている専門家が多数います。
しかし、必ずしもそれがニッチトップの最終目標、というわけでもありません。ニッチトップは会社員と異なり、定年がありません。定年退職後、月に5万円でも10万円でも、ほとんど働かないで自動でお金が入ってくる状況を作れれば、それも立派な勝ち組かもしれません。
またまとまった利益が出なくても、「自分は◯◯業界トップだ」という誇りを手に入れ、SNSなどで情報発信をしながら楽しく行きていけな、それはそれで良い人生でしょう。
折角なので高収入を狙っていただきたいですが、勝利条件は複数ある、どれも悪くない、ということを忘れないで、楽しく取り組んでください。










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