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集中すると楽しい。人と話しても楽しい。その違いは?

執筆者の写真: 伊賀上真左彦
伊賀上真左彦
9月30日
読了時間: 6分

更新日:10月1日


仕事や勉強に集中していると、気分がよくなることがあります。


難しい問題が解けたとき。文章がうまく書けたとき。予定していた仕事がどんどん進んだとき。「もう少し続けたい」と感じることもあるでしょう。


一方で、誰かと話すことで気分がよくなることもあります。


自分の気持ちをわかってもらえたとき。一緒に笑ったとき。思いつかなかった考えを教えてもらったとき。会話が終わったあと、心が軽くなることがあります。


どちらも気分がよくなる体験ですが、そこには少し違った喜びがあります。



集中すると「できた」という喜びが生まれる

集中しているときの喜びは、「できた」「わかった」「前に進んだ」という感覚から生まれます。


たとえば、少し難しいパズルに取り組む場面を考えてみましょう。


最初は答えがわからなくても、試しているうちに少しずつ形が見えてきます。そして答えを見つけた瞬間、「そういうことか」とうれしくなります。


集中する時間には、次のような喜びがあります。

  • わからなかったことが、わかる

  • できなかったことが、できる

  • 自分の力で仕事を進められる

  • 少しずつ上達していると感じる


仕事が終わったときだけではありません。目標に近づいていると感じられれば、取り組んでいる途中にも喜びが生まれます。



夢中になると、余計な心配を忘れられる

何かに深く集中すると、時間を忘れることがあります。


絵を描いていたら、いつの間にか何時間も過ぎていた。文章を書いているうちに、周りの音が気にならなくなった。スポーツに夢中になり、ほかのことを考えなくなった。


このように、目の前の活動に深く入り込んだ状態は「フロー」と呼ばれます。


フローに入りやすいのは、簡単すぎず、難しすぎない活動です。少し頑張ればできそうなことに取り組むと、集中しやすくなります。


夢中になっている間は、「失敗したらどうしよう」「人からどう見られているだろう」といった心配が、いったん頭から離れることもあります。


フローについての研究でも、夢中になっているときには、自分について考えることに関係する脳の一部で、活動が弱くなる様子が確認されています。


つまり、集中すると気分がよくなるのは、成果が出るからだけではありません。目の前のことに夢中になり、余計な心配から離れられることも関係しているのでしょう。



会話には「伝わった」という喜びがある

人と話したときの喜びは、少し違います。


悩みを友達に話して、「それは大変だったね」と言ってもらう。自分の考えを伝えて、「私もそう思う」と返してもらう。一緒に話しているうちに、自然と笑顔になる。


このようなとき、問題が解決したわけではなくても、気持ちが楽になることがあります。

会話には、次のような喜びがあります。

  • 自分の気持ちが相手に伝わる

  • 話を聞いてもらえる

  • 同じ気持ちを分かち合える

  • 自分とは違う考えに出会える

  • 一人ではないと感じられる


自分の考えや経験を誰かに話すこと自体にも、人を喜ばせる力があります。実験でも、自分のことをほかの人に伝えると、よい出来事に反応する脳の部分が働くことがわかっています。


集中が「自分の力を使う喜び」だとすれば、会話は「人とつながる喜び」だといえるでしょう。



会話が疲れることもある

もちろん、すべての会話が楽しいわけではありません。


相手に否定されたり、ずっと気を使ったり、自分ばかり我慢したりする会話は、かえって疲れることがあります。


集中も同じです。


仕事が難しすぎたり、やりたくないことを無理に続けたりすると、苦しくなります。簡単すぎて手応えがなければ、退屈になることもあります。


集中も会話も、行えば必ず気分がよくなるわけではありません。


集中では、仕事の難しさが自分の力に合っていること。会話では、お互いに安心して話せること。このような条件がそろったときに、それぞれの喜びが生まれやすくなります。



ドーパミンは「幸せを出す物質」ではない

集中すると気分がよくなる理由を、「ドーパミンが出るから」と説明することがあります。


ドーパミンは、脳の中で情報を伝える物質の一つです。何かに取り組む気持ちや、経験から学ぶ働きに深く関わっています。


ただし、ドーパミンを「出れば幸せになる物質」と考えるのは、少し単純すぎます。


ドーパミンは、楽しさそのものよりも、「やってみたい」「もっと続けたい」「次も手に入れたい」という気持ちと深く関係しています。気分がよくなったというだけでは、ドーパミンが増えたかどうかもわかりません。


また、会話を楽しんでいるときにも、脳の中ではさまざまな働きが起きています。


そのため、「集中はドーパミン、会話は別の物質」と、きれいに分けることはできません。私たちの気分は、一つの物質だけで決まるほど単純ではないのです。私も書籍を書くときは少しわかりやすく、ドーパミンに焦点を絞ってお話することもありますが、厳密には他にも多くの脳内物質が関係しています。



集中と会話には共通点もある

集中と会話は違う喜びを生みますが、共通する部分もあります。


それは、自分が働きかけると、何かが返ってくることです。


仕事では、考えると答えが見えてきます。手を動かすと、成果が少しずつ形になります。

会話では、話しかけると相手から言葉や表情が返ってきます。相手の反応を受けて、さらに話が広がります。


どちらにも、「働きかける」「反応が返る」「次へ進む」という流れがあります。この流れがうまく続くと、私たちは手応えを感じます。


また、人と一緒に仕事をすると、二つの喜びを同時に感じることもあります。


一緒に考えて問題を解決できれば、「できた」という集中の喜びと、「一緒にできた」という交流の喜びの両方を得られます。



集中と交流の時間を、仕事の中につくる

「集中力ファースト」の手法では、午前中に一人で集中して仕事を進め、午後に打ち合わせや会話などの交流を行うことを勧めています。


頭がすっきりしている午前中に、考える仕事や大切な仕事に取り組みます。午後は、人と話したり、情報を交換したり、一緒に考えたりする時間にします。


ただし、必ずこの順番にする必要はありません。


朝のほうが人と話しやすい人は、午前中に交流し、午後に集中してもよいでしょう。仕事の予定や自分の調子に合わせて、順番を変えることもできます。


大切なのは、集中する時間と、人と交流する時間の両方を、一日の中につくることです。

集中する時間には、「できた」「わかった」「仕事が進んだ」という喜びがあります。交流する時間には、「伝わった」「一緒に考えられた」「気持ちを分かち合えた」という喜びがあります。


できれば同じ部署内で「集中する時間」と「対話する時間」を揃えておけば、「集中したいのに話しかけられる」ということを防ぐことができます。


一人でじっくり取り組み、人とのつながりも楽しむ。


集中と会話、両方の喜びを仕事の中で手に入れ、充実した一日をつくる。それが、集中力ファーストで集中と交流の時間を分ける理由です。



参考文献

 
 
 

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書籍「集中力ファースト」を元に、仕事と勉強の効率を高め、ストレスを減らす方法をご紹介しています

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AIなども含めた、全ての記事をまとめています
 

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