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  • 執筆者の写真まあさ

3Dプリントでの模型の作り方

今回は趣向を変えて、私が本業(DNP・CPデザインコンサルティング)で最近行っている、3Dプリントでの模型作成についてご紹介します。今年1月に終わりましたDNPプラザでの「不思議な恐竜展」、私は3Dプリントによる展示用模型作成で参加させていただきました。





もともと私は模型作りが趣味ですし、家に3Dプリンターもあったりします。また会社として3Dプリンターや3Dデータを活用する新規ビジネスを検討していたこともあり、今回の展示会で展示用模型を作成することになりました。今回は私が3Dプリンターを使用した模型作成を習得した手順、コツについて書かせていただきます。


①まず必要なのは3Dモデル

ここがいきなりハードルが高いです。私は本を読みながら独学で勉強しました。いくつかのアプリが存在しますが、私はBlenderをお勧めします。高機能、かつ完全無料のアプリです。仕事として3Dモデリングを行う場合、別の選択肢がありますが、趣味レベルの方で、アプリに毎月5,000円とか払うのは厳しいですよね。その意味で、私は無料のBlenderを使用しています。プロの方に聞くと、Zbrushを使っている方が多いです。


Blenderは比較的低スペックなパソコンでも動きます。私は3万円で買った中古のノートパソコンで動かしています。ただ私のパソコンによっては動かないこともありますので、よく調べてから使ってください。本に関しては、私はこちらを主で勉強しました。メカ系が好きだからで、それ以外が主な方は、別の本を探しましょう。本屋で中身を見て、理解しやすいものを探すとよいと思います。




3Dプリンター用にモデリングする場合、イラストやゲーム用とはまた違う注意点が発生します。厚み0の平面や、表面の小さな穴が容認されません。こういった厚み付けや、エラーの修正はBlenderでも行えます。私は最終的なエラーの自動修正を、Microsoftの3D Builderというアプリを用いて行います。このアプリは無料ですし、初めからパソコンにインストールされている場合も多いです。ない場合はMicrosoftのストアから

無料で落とせます。


3D Builderのエラー修正機能は強力ですが、エラーを修正する過程で稀に形状が変化することがあります。最終的にはBlenderで再度データを開き、想定通りの形状になっている確認、場合によっては手修正することもあります。3Dデータ編集の世界では、このように複数のアプリを行ったり来たししながらデータを加工するのは一般的です。これがハードルを上げていますが、3Dプリントでの模型作成程度ならこの2つのアプリで大丈夫ですし、1カ月程度の勉強で覚えられると思います。


②模型用の3Dプリンターは主に3種類

10年ほど前に第二次3Dプリンターブームというものがありました。当時のプリンターは数十万円しましたが、今はアマゾンで2万円以下で売られているものもあります。だいぶハードルが下がりましたね。


模型用として最も一般的なのは、光造形のプリンターです。UV硬化型の液体レジンを使用します。値段は2から10万円程度です。最近特許が切れた関係、様々な企業から安い機種が発売されています。


次に使用している方が多いのは、熱溶融型のプリンターです。フィラメントというプラスティックの糸を熱で溶かして積層します。光造形と比較し細かい造形はできません。また積層跡と呼ばれるギザギザが表面に残ります。模型用としては正直微妙ですが、値段が安くお手軽、強度の点では光造形より優れており、限定的な用途では今でも使用されます。


もう一つはフルカラー3Dプリントです。日本ではミマキ社のプリンターが有名で、不思議な恐竜展の展示用模型でも使用させていただきました。1000万色以上という他社を圧倒する色再現性が特徴で、生物などを実物と見間違える精度で印刷できます。


フルカラー3Dプリンターの1番の欠点は値段です。プリンター本体も500万円しますので、個人で買うのは困難です。個人が使用する場合、業者さんに依頼するのが現実的です。港区産業振興センターなど、安い値段で貸してくれる施設もあります。


材料含め高額ですが、色を自動で塗ってくれるのは大きなメリットです。材料費に関しては、模型のサイズを小さくすることで下げることができます。長さを半分にすると体積は8分の1、インク代も8分の1です。販売する場合、サイズと値段を計算し、適切なサイズを選ぶ必要があります。


ミマキさんのフルカラー3Dプリンターを使った製品としては、こちらが有名です。シリーズ化されており、かなりのヒットと聞いています。



ちなみに私たちが不思議な恐竜展で展示したマイアサウラの卵は、イクラボ社から発売が決まりました!サイズを小さくし値段を下げたものと、大きいもの、両方を販売する方向で動いています。





この3種のプリンターからどれを使うか選んでいただきます。ほとんどの方は光造形、色を自動で塗りたい方はフルカラー、という感じですね。自分でプリンターを買うか、外注を使うかの判断も必要です。


外注をしてくれる業者さんとしては、DMM.Make社が自動見積もりなど、便利です。3Dプリントは材質、体積、形状などにより大きく値段が変わります。すべてのパターンを業者さんから手作業で見積もりを取るのはお互いに面倒です。そこを自動で行ってくれるDMM社は大きなメリットとなります。光造形のプリンターとか、だれでも買える値段にはなっていますが、購入前にこういったサービスで練習をするのも良いかもしれません。


ちなみに、こういった企業はエラーがある3Dモデルは注文を受けていただけません。3D Builderなどでエラー修正したデータを送ってあげてください。


一般的に3Dプリントを使った模型の作成は、数回程度プリントし、修正を加えることでやっと使えるものになる、というのが一般的です。初回プリントは失敗する確率が高く、値段を下げるために小さいサイズで印刷すると良いと思います。


もう1つ、コストダウンの手段として存在するのが中空化です。中身を空洞にしてコストを落とします。やりすぎると強度が落ちますが、中に金属棒やエポキシレジンなどを流し込み、強度を上げる手もあります。大型の展示用模型はこういった作り方をします。


3Dプリンターでの模型作成は、最終的には模型作成のテクニックも必要で、だれでも簡単、とは言いにくい部分があります。フルカラー3Dプリンターの場合、データそのままで仕上がってくるため、模型作成のテクニックは不要です。


3Dプリントを模型量産のメリットとデメリット


メリット

・初期投資がほとんどかからない

・試作品作成にかかる時間が少ない(最短でモデル作成に1日、印刷に1日)

・プラモデルと比較し加工精度が高く、複雑な形状も作れる

・フルカラーは塗装も自動で行える


デメリット

・大量生産は困難(一日数個とか)

・1つあたりの量産コストが高く、単価を上げる必要がある


3Dプリントを用いた模型の量産は、一部で始まりつつありますがまだメジャーではありません。そこにビジネスチャンスがあるかもしれませんね。個人の副業レベルで行う場合、寝る前に印刷をセット、帰宅後取り外し次のをセットと、印刷に時間がかかる問題を気にすることなく、毎日数千から数万円の利益を出せる、面白い商売になるかもしれません。

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