AIへの指示はExcelでもいい。業務で使う「AI作業指示書」の作り方


AIエージェントへの指示は、Markdownで書くもの。そう考えている方も多いと思います。
Markdownは、見出しや箇条書きで文章を整理できる便利な形式です。ただ、仕事によっては、Excelの方が指示を作りやすい場合もあります。
例えば、商品ごとに紹介文を作る、メールを条件別に分類する、複数の資料を同じ基準で要約する。こうした仕事は、対象と条件を表にすると整理しやすくなります。
そこで今回、試験的に「AIへの指示に使うExcelフォーマット」を作ってみました。
長いプロンプトを書く前に、仕事を表にしてみる
「この商品は初心者向けに。この商品は価格を強調して。こちらは専門用語を避けて……」
対象が増えるほど、文章だけで指示を管理するのは大変です。後から一つの条件を変えるときも、該当箇所を探さなければなりません。
Excelなら、1行を一つの作業として整理できます。
作業ID | 対象 | 作業内容 | 個別条件 | 完了条件 |
T-001 | 商品A | 紹介文を作成 | 初心者向け、200文字以内 | 特徴と使い道を含める |
T-002 | 商品B | 紹介文を作成 | 価格を強調、150文字以内 | 提供した価格と一致する |
T-003 | 商品C | 紹介文を作成 | 専門用語を避ける | 初めて読む人にも伝わる説明 |
条件の抜けを見つけやすく、修正したい行もすぐに分かります。AIに渡す前に、人間が指示を点検できることも利点です。
Excelの強みは、指示と結果を並べられること
今回のフォーマットでは、列を二つのまとまりに分けました。

A~G列は、人が入力する指示です。
作業ID、対象、優先度、作業内容、入力情報・参照元、個別条件、完了条件を記入します。
H~L列は、AIが記入する結果です。
状態、成果物・回答、根拠・参照先、確認事項・未実施理由、自己確認を記録します。
例えば、資料の要約を依頼したのに、肝心の資料が添付されていなかった場合。AIには「要確認」と記録し、資料がないため要約を実施できなかったと書いてもらいます。
作業指示と成果物が同じ行に残るため、何を頼み、どこまでできたのかを追いやすくなります。
ただし、AIが付けた「完了」はAI自身の申告です。人が内容を確認したこととは区別する必要があります。
「何をするか」と同じくらい、「何ができれば完了か」が大事
AIへの依頼で、つい省いてしまうのが完了条件です。
「この資料を分かりやすくまとめて」だけでは、期待する長さや内容が伝わりません。
「要点を3項目にまとめる」「各項目に該当ページを付ける」「資料にない情報は追加しない」と書けば、成果物を確認する基準ができます。
これは、人に仕事を頼む場合とよく似ています。「いい感じによろしく」は便利な言葉ですが、受け取る側にはなかなかの難問です。
Excelに完了条件の列を設けておくと、依頼する側も「何をもって完成とするのか」を考えるきっかけになります。
共通ルールは、別シートにまとめる
毎行に「日本語で」「推測を事実として書かない」「根拠を記録する」と書くのは手間です。
そこで、全作業に適用する内容は「使い方・共通ルール」シートにまとめました。
処理する行、優先順位、結果の記入先、情報が不足したときの対応、完了の定義などを指定します。
各行には、その作業だけの条件を書きます。共通ルールと個別条件が矛盾した場合の扱いも決めておきます。
ブック内には、Excelを添付するときにコピーして使える依頼文も入れました。ファイルを渡すだけで意図が伝わると考えず、「どのシートを読み、どこに結果を書くか」を伝えるためです。
MarkdownとExcelは、仕事に合わせて使い分ける
Markdownは、目的や背景、判断の考え方を文章で説明する際に便利です。Excelは、複数の対象に条件を割り当て、結果を一覧で確認する仕事に向いています。
伝えたい内容 | 使いやすい形式 |
目的、背景、文章で説明する手順 | Markdown |
対象別の条件、分類基準、作業一覧 | Excel |
作業ごとの成果物、進捗、確認事項 | Excel |
Anthropicの公式解説でも、エージェントへの指示は明確で直接的な言葉にし、必要な情報を過不足なく与えることを重視しています。ExcelがMarkdownより優れているという説明ではありません。今回のフォーマットは、その考え方を業務の指示書に当てはめた試案です。
Excel形式に変えるだけで、AIの精度が上がると保証されるわけではありません。表に整理することで、対象・条件・期待する結果をそろえやすくなる。その効果を試してみよう、という取り組みです。
使うときは、見た目より読み取りやすさを優先する
AIへの指示書に使うなら、セル結合は避け、列の見出しを明確にします。色だけに意味を持たせず、「優先度:高」「状態:要確認」のように文字でも表します。
また、ファイル名を書いただけでは、その資料をAIに渡したことにはなりません。必要なファイルは実際に添付し、URLもアクセスできるかを確認します。
利用するAIによっては、Excelを読めても、元のブックに結果を書き戻せない場合があります。その場合は、作業ID付きの表で回答してもらえば照合できます。
まずは1~3件で試し、条件どおりに処理できるか、未実施の理由が残るかを確認するとよいでしょう。
すでに社内に作業一覧や条件表があるなら、それをAIへの指示書にできないか考えてみる。使い慣れたExcelにも、まだ出番がありそうです。










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