仕事の成果を最大化する「3S」──スキル・実績・人脈をバランスよく鍛える
- 伊賀上真左彦

- 6 日前
- 読了時間: 10分

本記事は書籍『集中力ファースト FOCUS FIRST』を元に、筆者がWeb公開用に書き起こしています。
仕事で成果を出し続けるためには、何が必要なのでしょうか。
高い能力があればよい。資格を取ればよい。大きな仕事を経験すればよい。人脈を広げればよい。
どれも間違いではありません。
ただ、長く仕事をしていると、「能力は高いのになぜか仕事に恵まれない人」や、「実績はあるのに次のチャンスにつながらない人」を見かけます。
そこで私がキャリアを考える時に重視しているのが、「3S」という考え方です。
3Sとは、次の3つです。
Skill(スキル)……能力・知識・資格
Score(スコア)……これまで積み上げてきた実績
Social(ソーシャル)……人脈・信頼関係
重要なのは、この3つのどれか1つだけを突出させるのではなく、できるだけバランスよく育てることです。
3Sは「三本脚の椅子」
私は3Sを、「三本脚の椅子」のようなものだと考えています。
椅子は、3本すべての脚がしっかりしていれば安定します。しかし、1本でも極端に短ければ、座ることはできません。
キャリアも同じです。
スキルだけ高くても仕事は来ない
例えば、高度な専門知識を持っていたとしても、実績がなければ、
「本当にこの人に任せて大丈夫だろうか」
と相手は不安になります。
企業、特に大企業では、重要な仕事ほど「過去に同じような仕事を成功させたか」が重視されます。
どれだけ能力があっても、実績が見えなければ、チャンスそのものを与えてもらえないことがあります。
実績だけでも長続きしない
反対に、立派な実績を持っていても、能力が伴っていなければ、
「たまたま成功しただけではないか」
と見られる可能性があります。
一度は大きな成果を出せても、それを再現できなければ仕事は続きません。
実績は重要ですが、その裏側には、それを再現できるスキルが必要です。
スキルと実績があっても、知られなければ仕事は来ない
そして意外と見落とされやすいのが、ソーシャルです。
どれほど能力があり、どれほど実績を積んでいても、その存在を知る人が誰もいなければ、新しい仕事はやってきません。
仕事は最終的には、
「この人に頼みたい」
と思う人がいて成立します。
一度信頼された相手から、
「今回もお願いしたい」
「知人にも紹介したい」
と言ってもらえるようになると、仕事の広がる速度は一気に上がります。
つまり、3Sは別々の能力ではありません。
互いに支え合う1つの仕組みなのです。
企業に務める人は、3Sの「どれか1つだけ」を突出して成長させる人がとても多いです。しかしそういった人は、転職した瞬間、部署が変った瞬間に能力を発揮できなくなり、新入社員くらすの状態から再度やり直す必要にせまれるケースが非常に多いです。
① Skill──「できることの在庫」を増やす
最初のSは、Skillです。
スキルとは、資格だけを意味するものではありません。
文章を書く力、説明する力、問題を発見する力、判断する力、道具を使う力、データを分析する力など、仕事を前に進めるためのあらゆる能力が含まれます。
言い換えれば、スキルとは、「自分ができることの在庫」です。
そして面白いのは、スキルは単体よりも、組み合わせた時に大きな力を発揮することです。
例えば、
「提案力」+「データ分析力」
があれば、感覚だけではなく数字で説得できるようになります。
さらに、
「資料作成力」+「文章力」
が加われば、意思決定者へ伝わる速度はさらに上がります。
1つひとつは珍しくない能力でも、複数を組み合わせることで、簡単には代替できない人材になっていきます。
一方で、スキルには寿命があります。
以前は価値の高かったスキルが、AIや新しい技術によって急速に陳腐化することもあります。
だからこそ、「一度覚えれば終わり」ではなく、学び続ける必要があります。
毎日少しでも、将来役立つ知識や能力に時間を投資する。
半年、1年、数年と続ければ、その差は非常に大きくなります。
② Score──実績を「見える形」に変える
2つ目のSは、Scoreです。
スコアとは、「自分の能力を、他人から見える形にしたもの」だと考えるとわかりやすいでしょう。
社内であれば、
担当したプロジェクト
売上
改善実績
表彰
社内評価
などがスコアになります。
独立した後であれば、
導入事例
顧客の声
継続率
登壇回数
出版
メディア掲載
なども実績になります。
採用する側も、仕事を依頼する側も、その人の頭の中を見ることはできません。
だから、「この人なら大丈夫そうだ」と判断する材料が必要になります。
それがスコアです。
現代では「検索して出てくる実績」が強い
ここで、昔と現在では大きく変わったことがあります。
以前は、「本を書く」「大きなプロジェクトを成功させる」「社外で講演する」「賞を取る」といった成果が、代表的な実績でした。もちろん、今でも強い実績です。
ただ現在は、それに加えて、インターネット上で確認できる情報が非常に重要になっています。会社の中でどれほど活躍していても、その情報が外から見えなければ、社外の人には伝わりません。
転職や独立をした瞬間、「会社の看板が外れたら、自分には何が残るのだろう」と気づく人は少なくありません。
そこで有効なのが情報発信です。
ブログ、SNS、動画、note、メルマガなどで、自分の知識や経験を継続的に発信する。
誰かの役に立つ情報を積み上げていけば、それ自体が立派なスコアになります。
ただし、何でも発信すればよいわけではありません。重要なのは、「この人は面白い」「この人の考え方をもっと知りたい」と思ってもらえることです。
つまり今は、スコアを「待つ」のではなく、自分から意図的に作ることができる時代なのです。
一般にはSNSのフォロワー数の多さは、何を行っても武器になります。ただ、フォロワー数の多さだけで全てが決まるわけでもありません。
例えば書籍を執筆する場合で考えてください。フォロワー数が多くなくても、「内容に光るものがる」「(出版社の編集さんが)自分が手を加えれば面白くなる」「少なくとも犯罪的な行為はしていない、しっかりした人だ」と思ってもらえれば十分です。
フォロワー数が少ない人の書籍が売れた例はいくらでもありますし、逆にフォロワー数が多いものの、本がまったく売れなかった人もいます。
スコアは「一段上」を繰り返して伸ばす
実績を増やす時に大切なのは、毎回ほんの少しだけ難しい仕事に挑戦することです。
30万円の仕事を成功させたなら、次は100万円。100万円を成功させたなら、その次はさらに大きな案件へ。
もちろん、金額である必要はありません。
「前回より短時間で終わらせる」「前回より品質を上げる」「社内で初めての取り組みに挑戦する」でも構いません。
大切なのは、前回の自分を少しだけ超えること。この積み重ねが、スキルとスコアを同時に伸ばします。
③ Social──人脈は「人数」ではなく「信頼」
3つ目は、Socialです。
ここでいう人脈とは、名刺の枚数やSNSのフォロワー数ではありません。
「あの人なら安心して任せられる」「あの人なら紹介しても大丈夫」
と思ってもらえる関係です。
つまりソーシャルとは、知り合いの数ではなく、信頼の厚みです。
社会学では、このような人間関係から生まれる資源を「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」と呼びます。
大きく分けると、人間関係には次の3種類があります。
結束型
家族や親友など、非常に強い信頼で結ばれた関係です。
困った時に助けてもらえる、いわば人生のセーフティーネットです。
橋渡し型
別の会社、別の業界、別のコミュニティなど、自分とは少し違う世界にいる人との関係です。こうした人から、新しい情報や仕事、価値観が入ってきます。
連結型
自分より経験のある人、立場の高い人、組織や制度につながる人との関係です。
キャリアを一段上へ引き上げるきっかけになります。
大切なのは、知り合いをむやみに増やすことではありません。
人数が少なくても、この3種類の関係がバランスよく存在している方が、キャリアは動きやすくなります。
特に独立して会社を立ち上げる場合に重要になるのは、「部長以上。社長役員クラス」との人脈です。つまり決裁権がある人たちです。それ以下の人ととの人脈は、受注につながるまでの手間があまりに長く、現実的ではありません。
では部長以上との人脈をどう作ればよいでしょう?
これは皆さんの周囲を見るところから初めてください。友達の友達、親戚の親戚を探せば、会社を経営している人も何人かはいるでのはないでしょうか?その人たちとの関係を作りましょう。そして社長の友達は社長が多い。そういったところからゆっくりと、何年もかけて人脈を広げます。
これは筆者だけかもしれませんが、筆者の人脈形成で役に立ったのは、プログラミングのスキルと、執筆した書籍が売れたことです。ある程度ヒットした書籍の著者であれば、あってみたいと思う社長さんも少なくはありません。業務効率化や自動化はどこの会社にとっても大きな課題です。
「雪だるま式」という言葉もあります。ソーシャルは少しづつ、ゆっくりと広げてください。
「誰と時間を過ごすか」は、想像以上に重要
人は、周囲の影響を強く受けます。
仕事に対する姿勢、使う言葉、判断基準、情報の集め方、時間の使い方。一緒に過ごす時間が長い人ほど、知らないうちに似てきます。
だから、自分が将来こうなりたいと思う人がいるなら、その人たちに近い環境へ自分から移動してみることも重要です。
「人間は、最も長く時間を過ごした5人の平均値になる」と言われています。あなたに将来なりたいと思っている姿があるなら、それを実現している人を探し、その人と少しでも長く時間を過ごすようにしてください。
勉強会に参加する。コミュニティに入る。SNSで交流する。仕事を一緒にする。
最初は距離があったとしても、その環境に長くいることで、自分の「当たり前」の基準が少しずつ上がっていきます。
人脈作りとは、単に仕事をもらうための営業活動ではありません。自分自身を成長させる環境作りでもあるのです。
会社の外へ出た時、3Sの本当の価値がわかる
会社員として働いていると、3Sの重要性は少し見えにくいところがあります。
会社のブランドがあり、上司が仕事を割り振り、営業部門が仕事を取ってきてくれるからです。
しかし、転職、独立、副業、定年などで会社の外へ出ると状況が変わります。
「何ができるのか」「何をやってきたのか」「誰が自分を知っているのか」この3つが、突然問われます。
だからこそ3Sは、会社の中だけで通用するものではなく、どこへでも持っていける形で育てておく必要があります。
部署が変わっても、会社が変わっても、国が変わっても、自分のスキル・実績・信頼が残っていれば、もう一度価値を生み出すことができます。
仕事の時間を「消費」から「投資」へ変える
私たちは、人生の非常に大きな割合を仕事に使っています。
その時間を、「会社から言われた仕事をこなして終わる時間」として使うのか。
それとも、「Skill・Score・Socialを積み上げ、将来の選択肢を増やす時間」として使うのか。
同じ8時間働いたとしても、10年後には大きな差になります。
仕事をするたびに、「この仕事で、どのSが増えるだろう?」と考えてみてください。
スキルが身につく仕事なのか。
実績として残る仕事なのか。
信頼関係が広がる仕事なのか。
理想は、1つの仕事で複数のSを同時に伸ばすことです。
例えば、新しい技術を学び、それを使ったプロジェクトを成功させ、その内容を外部へ発信する。
すると、Skill → Score → Socialがつながります。
そして新しいSocialから、さらに高度な仕事が来る。それをこなすために、またSkillが伸びる。
この循環が回り始めると、キャリアは少しずつ自走し始めます。
3Sは、一発逆転の方法ではありません。むしろ地味です。
しかし、時間をかけて3つを積み上げた人ほど、環境が変化しても強い。
AI時代のように変化の激しい時代だからこそ、「会社に守ってもらうキャリア」ではなく、自分自身に蓄積される3Sを育てることが、将来の自由につながっていくと私は考えています。
まとめ
3Sは、Skill・Score・Socialの3本柱。1つだけでなくバランスが重要
スキルは深め、実績は見える形にし、人脈は人数ではなく信頼として育てる
仕事を3Sへの投資と捉えると、会社や環境に左右されにくいキャリアが作れる




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