答え→どんなRPAでも作れます。ただ、向き不向きがあります。
今回はこちらの内容でお話させていただきます。
シクリックスはそれ自体は高性能なRPAではありません。早い方なら30分か1時間で操作を習得しRPAを作成できる、機能が低い反面習得が容易なRPAだと思います。
シクリックスは標準の機能のみでは繰り返しや条件の分岐すらできません。
ただシクリックスが優れているのは、Python、RuBy、JAVAスクリプトを組み込める、という点です。これらを習得することで、結果としてどのようなRPAでも作れるようになります。
さらにシクリックスは外部のプロブラムを呼び出して使うことも、逆に外部からシクリックスを呼び出すことも可能です。タスクスケジューラで自動で決められた時間に起動することもできます。
市販RPAもプログラミング言語を組み込み機能拡張をできるものが大半ですが、このように複数の言語を取り込めるRPAというのはあまり例がないと思います。
市販RPAはRPAの実行に数十秒、時として数分かかる場合がありますが、シクリックスは5秒少々です。
シクリックスは市販のRPAと比較しシンプルですが拡張性が高く、結果として他のRPAと同等のことは行えます。
シクリックスはどういった時につかうと良いのか
①初心者が最初に触るRPAとして
シクリックスはオープンソースで無料で使えますし、インターフェイスが直感的で覚えやすいという特徴がります。何度かお見せしていますがこれがシクリックスの画面です。

市販のRPAはノンプログラマーでも使える、ということを売りとしている場合が多いのですが、実際にはノンプログラマーの方は少し操作説明を聞いただけで大半は自分には無理だとあきらめてしまいます。
ある企業様が若手社員10人を選抜しRPAの教育を行いましたが、最初のRPAを作成できたのは3人しかいなかったそうです。
シクリックスに関しては私が研修を行いますと、8割くらいの方は「これなら私にも使えるかも」という反応を示してくれますし、3割くらいの方はぜひ勉強してみたいとおっしゃっていただけます。
②Pythonの習得用に
AIの開発と実用がPythonに統一されたことで、Pythonは大変人気が高い言語となりました。Python系エンジニアの年収や将来性を考えると習得したいと考えている方は多いと思われ、実際書店でもたくさんの本が販売されています。
ただPythonを習得したいと思う方がぶつかる最初の壁が、「仮想環境を含めた開発環境構築の難しさ」「何をどう作ってよいかわからない」といった問題です。
この問題をシクリックスは解決します。Pythonよりインストールが容易ですし、操作が簡単なため、Pythonの基本機能を練習する時に効果を発揮します。
③ブラウザ操作の自動化に
ブラウザ操作の自動化はシクリックス以外にも選択肢があります。Python+Seleniumや、VBAによるIE操作、このブログでもご紹介しているSeleniumBasicを使えば、VBAからクローム等を操作することが可能です。
そういった中でシクリックスを使うメリットがどこにあるかですが、一つが開発にスキルを要しない点、もう一つがメンテナンスの容易さです。
ブラウザ操作の自動化はある程度の経験が必要です。プログラミング経験がある私でも最初のブラウザ操作用RPAを作るのに1週間。どのようなサイトでも自動化できると自信を持つまでに1年以上はかかったと思います。30分少々の勉強で最初のRPAを作れるシクリックスは驚異的だと思います。
メンテナンスの容易さも驚異的です。最近はパソコンにインストールして使うアプリはほとんど販売されておらず、ほとんどがSaaSと呼ばれるWeb上のサービスになっています。RPA
で業務を自動化する場合もブラウザ操作の必要性が高くなっています。
ブラウザ操作を自動化する場合、インストールするタイプのアプリと比較してバージョンアップの影響でRPAが動かなくなるリスクが高くなり、RPAをメンテナンスする頻度も高くなります。パソコン自体のバージョンアップ、ブラウザのバージョンアップ、サイト自体の更新と、全ての影響が重なります。RPAのコード自体に問題はないのに、セキュリティーの影響でどうしても特定のPCだけ動かない時もあります。
画像認識を主体としたシクリックスの場合、セキュリティーの設定のためRPAが動かないということはありません。
ちなみにシクリックスはSeleniumをインストールすることも可能で、ミックスし使うことも可能ですが、この方法は私はお勧めはしません。
RPAが動かなくなった場合、ボタンの画像が変わったためか、WebDriverのバージョンなどSelenium側の問題か、原因の特定が難しくなり、メンテナンス負荷が高くなるためです。この2つは混ぜるのではなく、別々に使った方が良いかと思っています。
これは私独自の方法かと思いますが、社内で開発・運用しているサイトの自動化はVBAによるIE操作、社外のサイトはシクリックスで自動化する場合が多いです。
VBAはインストール不要というメリットがありますし、社内システムの場合、更新が入る場合は事前に連絡をいただくようお願いしていますので、対応が容易です。社外のサイトはいつ更新が入るか読めないですね。
④どうしても押せないボタンがある時に
RPAを学習、開発する中で、どうしてもこのボタンを押せない、この部分が自動化できない、ということに度々ぶつかると思います。
そういった場合にシクリックスが威力を発揮します。お使いになっているプログラミング言語から、シクリックスの実行ファイルを起動することでそのボタンを押します。
特に画像認識での自動化を不得意とするVBAの場合、シクリックスを使うメリットが大きいと思います。Pythonの場合、OpenCVを使えば簡単に画像認識での処理が可能です。OpenCVはシクリックスにも組み込まれています。
シクリックスの使用を避けるべき場合は?
①MSオフィスの自動化は避けた方が良い
理由は明確で、MSオフィスの自動化に特化した言語、VBAが存在するためです。
また、画像認識を主体としたシクリックスは、エクセルのように格子が無限に続くようなものを操作するのは苦手です。
部署内にVBAを使える方がいらっしゃらない場合、シクリックスを使って自動化しても問題ありません。いらっしゃる場合はその方にお願いしましょう。
VBAはレコ―ディング機能があり、簡単なRPAならプログラミングの知識がなくても行うことが可能です。ネット情報も多く、コピペだけで複雑な自動化が可能、というのも大きいです。
もう一つ、VBAの大きなメリットは、ここ20年、ほとんど仕様の変更が行われていない点です。これにより、20年前に作られたRPAがいまだにメンテナンスの必要もなく動いている場合があります。
VBAで済むものはVBAで済ます、それ以外の部分に他の言語、RPAを活用する、というのがRPA作成のコツだと考えています。
②AI等、最新のライブラリを使用したRPAを作る場合
シクリックスのメリットであり、デメリットでもあるのが、jythonを使用して開発されている点です。そのため、使用できるPythonは最新の3ではなく2です。
RPAは極論しますとマウスとキーボードの動きを再現すればよいだけですので、最新のライブラリを使う必要性は低いです。ただ、それらを使う必要に迫られた場合は無理にシクリックスを使わず、Pythonで開発した方が簡単かと思います。
現在Python3からシクリックスを動かせるようにしたものも開発されています。sikulix4pythonと呼ばれているものです。こちらの完成も期待したいです。
いかがだったでしょうか。シクリックスは他に例がない特殊なRPAで、2020年の現時点では他に替えが効かないソフトです。ただ全てのRPAをシクリックスで作ればよいわけではなく、適材適所で他のRPAやプログラミング言語と組み合わせ、使い分ける必要があると考えます。
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