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  • 執筆者の写真伊賀上真左彦

本を出版しました

ここ最近、記事の更新が滞っていたのもこれが理由です。燃え尽きました。本日は出版の経緯や感想に関して、無理がない範囲で書かせていただこうと思います。



この本を出す目的

本を出す際は、自分が何を書きたいかと、世間のニーズの両方が必要です。私が書きたいと思っていたものは他にも複数ありますが、その中がニーズが最もニーズがありそう、と考えた結果がこれでした。Outlookの効率化に関してはここ何年か、プチブームが発生しています。私も何冊か読み、最初は大変な感動を得ましたが、徐々にまだこれでは足りていない、他の方が書かないなら自分で書こう、という気持ちが強くなりました。


私が足りていないと感じたのは、インボックス・ゼロに代表される海外の効率化手法に触れている本がなく、非効率な方法が続いている点と、自動化の2つです。ショートカットをはじめとする効率化テクニックでも、ある程度効率を改善することは可能です。しかし、8時間かかる仕事を5分で完了させることはできませんし、インボックス・ゼロをしらない状態で効率化について論じてもどうかと思います。近年のペーパーレス化の動きから、郵送やFAXで送っていた請求書や発注書をメールに切り替える動きが進んでいますが、ほとんどの企業では人間がExcelの表を元にコピペで送っています。これを簡単に自動化できることを知っていただきたかった、というのが私の目的です。


出版に至った経緯

元々、5年ほど前から、いつかは本を書きたいと考えており、そのために勉強もしましたし、プログラムの作りためをしていました。このタイミングで書く事に決めたのは、会社の上司から新しいことを行った方が良いとアドバイスをいただき、それに対して私から「本を書きたい」と答えたためです。2021年5月くらいから内容の検討を始め、6月から執筆開始、9月に約400ページを書き上げ、出版社に持ち込みました。


出版社に持ち込んだのが2021年10月。数社にあたるつもりでしたが、1社目で出版が決まりました。非常に幸運だったと思います。もともと企画を持ち込む際、本を書き上げる必要はありません。目次のみで良いです。持ち込みの方法はなぜ書き上げたのちに持ち込んだかというと、企画を盗まれることを恐れたからです。盗まれても、こちらが先に出版できるよう、最初に書き上げました。結果として一社目の出版社で決まったため、断られた出版社に企画だけ盗まれる、という心配は杞憂でした。喜んだのもつかの間、最大の事件が発生します。別の出版社が、先に本をお出しになったのです・・・。

ショックでした。日本初の本が良くて2番目になったのですから。でも気を取り直して先に進みます。2番目でもよい、良いものを作ろう、と。ライバルは電子書籍限定でした。こちらは本屋に並ぶ最初の本を目指します。ある意味、私以外の作者が書こうと思い、それに乗った出版社があった、というのは、追い風と考えることもできます。


出版社に企画を持ち込むと、担当の編集の方に付いていただけます。私たちは経験豊富な方についていただけたのがラッキーでした。本の編集の方は、全体のコントロールや細かな修正、アドバイスを行うのが仕事です。私のような初めて出版する著者相手ですと、ご苦労されたと思います。その方とまず行ったのは、目次の検討です。2021年10月から12月末まで、ひたすら目次の検討をおこなっていました。ここで、私がすでに書いていた400ページの下書きとは大きく内容が変わりますが、仕方ありません。サンプルプログラムはほとんど使えましたので、無駄ではなかったです。


全体に、VBAに関する内容を減らし、それ以外の効率化に関する内容を増やす方向で変更しました。これは本ですので、売れないと仕方がないためです。難しい内容を書けば書くほど本は売れなくなります。多くのIT本が「はじめての」とか「1週間でできる」とかをタイトルに入れているのもこれが理由です。目次がある程度のレベルに達したところで出版社の企画会議にかけます。数回の会議を経て、最終的なGOサインが出ます。担当編集の方が付いた時点ではまだ決定ではなかったのですね。


執筆を開始したのは2022年1月。終わったのは6月くらいでしょうか。私は下書きもありますし、2か月くらいで出せると思っていましたが、甘かったです。非常に重く、神経を使うう作業でした。ここまでの作業は全てWordを使用しました。20年ぶりくらいにWordを使いましたね。意外に負荷が高かったのが、画像のファイルを作る作業です。特にOutlookの本の場合、ダミーのメールをたくさん作る必要があり、下準備が大変でした。


2022年6月に執筆完了し、それから2か月ほど、内容の修正と確認を行います。書籍に近い状態のデータが上がってきますので、それに追記する形で修正していきます。


感想

正直、書いている間は神経が常時張りつめていましたし、休みの日も調べ事などで休む時間がありませんでした。今やっと解放され、ちょっとした虚脱状態になっています。2冊目以降も書きたいですし、1冊目に関するセミナーやコンサルなども作りたいです。1冊目に1冊目に1年半かかったことを考えると、2冊目は2年目かもしれません。


私は個人ではなく、会社の仕事として本を書きました。この方法は、印税が全て会社に入り、本人の取り分はゼロとなります。半面、就業時間中に本を書く事ができる、というメリットがありますし、会社から評価を受けれる可能性も生じます。どちらを選ぶかは皆様の考え次第と思います。


これから技術書を書く方たちへ

エンジニアやコンサルタントにとって、本を書くということは次のステップに上がるチャンスになると思います。自信がある方は積極的に狙った方が良いと思いますし、自信がない方は何年か後に本を書こう、という目標を持って勉強や環境作りを進めると良いと思います。目標があった方が勉強も楽しいですよね。


技術者が本を出す時に、いくつか考えることがあります。会社の名前で出すか、副業で出すか。出版社を通すか、通さないか。紙の本で出すか、電子書籍にするか、などです。いくつかの組み合わせ方がありますが、個人的には、以下の2択が良いと思います。

  1. 本業で出す場合、出版社を通し、紙の本で出す

  2. 副業で出す場合、出版社を通さず、電子書籍で出す

本業で出す場合、印税をもらえることはありません。代わりに得られるのが、会社や他社からの評価です。また就業時間中に書く事も出来ます。そこを考えるとこの組み合わせです。電子書籍ですと簡単に出せる反面、得られる評価も低くなります。


副業の場合、作業できる時間が限られます。作業負荷が軽い電子書籍に絞り、出版社を通さず自分の印税の取り分を増やすのが正解だと思います。この方法は数を売ることは難しいですが、印税の率が高い(7割程度)ため、著者もそれなりの利益を得られる可能性があります。


最後に。本を書く場合、まれに出版社の方から声がかかる場合があります。ただそれは極稀な、既に他の方見てもわかる成果を残されている方です。私のようにそうとは言い切れない人間ですと、自分から出版社に持ち込むしか方法はありません。アイディアと、著者の経験に光るものがあるなら、出版社は話を聞いてくれると思います。他人が声をかけてくれるのを待つのではなく、自分から動いた方が良いと思います。企画持ち込みの方法は、出版社のHPに書いてあります。その際、自分が目標とする本を出している出版社に接触すると良いと思います。出版社ごとに癖がありますし、技術書を出していない出版社に、技術書の企画を持ちこんでも意味はありません。






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