本日はこちらの内容にてお伝えします。
2021年10月、RPA業界にとって大きな変化がありました。Windows11のリリースと、それにRPA「Power Automate for Desktop」が無償で標準搭載された件です。「Power Automate for Desktop」は2021年3月、マイクロソフトから全Windows10パソコンへの標準搭載と無償化が発表されていましたが、先行しWindows11に搭載されました。Windows10でもいずれ標準搭載されると思いますし、今でもHPで無償でダウンロードすることが可能です。
RPAは1アカウント年間50万円ほど必要な高額なアプリケーションでしたが、それが無償で標準搭載されるという、この業界に生きる方には歴史的な年になりました。そういった状況下で、現時点でRPAに適した言語、ツールをご紹介させていただきます。
①VBA
Microsoft Officeの自動化、および機能の追加に用います。Microsoft Officeに標準搭載されていますので、無償で何もインストールすることなく使用できます。Accessを用いると、システムの開発も可能で、企業では現時点でも主力として使われていると思います。20年ほど仕様変更が行われていない枯れたツールですが、それゆえに、バージョンアップで動かなくなるといったトラブルも少ないです。
②Python
AIの開発にも用いられる万能言語です。RPAの用途に用いる場合、VBAが不得意なブラウザ操作自動化や、画像認識を使用した処理、AIを使用した処理に用いることが多いと思います。Web-APIの操作も得意です。海外では小学校で習うほど文法が簡単な言語としても知られています。正直、業務の効率化という目的ではVBAの方が使い勝手が良いですが、将来性の点で圧倒的に優れており、可能な範囲習得が望ましいと思います。
③Power Automate for Desktop
こちらは言語ではなく、RPAと呼ばれるアプリケーションです。無料とは思えない高性能なソフトで、どなたにも広くお勧めできます。プログラミング言語を勉強したことがい方は、こちらから勉強を始めるとよいと思います。プログラミング言語をある程度使える方からすると、動作が遅い、機能が低いなど、使いにく、という印象を持つ方も多いと思います。RPAと呼ばれるソフトはシステム開発を行えない、という致命的な欠点があります。業務を行う中ではいろいろなシステムの開発が必要になりますが、RPAではそういったことは行えず、すでに存在するシステムの操作を自動化するのが限界です。エンジニアとして上を目指す場合、プログラミング言語の習得が必要だと思いますが、初心者向けとしては十分なソフトだと思います。
④sikuliX（シクリックス）
こちらで無償でダウンロード可能です。こちらはシクリックスの画面ですが、シンプルで使いやすアプリです。VBAが不得意とする画像認識の処理を得意としており、VBAと組み合わせて使用すると自動化できる範囲が広がります。インターフェイスとしてPython2を採用しており、一部のライブラリを使用することも可能です。有志が無償で開発しているOSS（オープンソースソフトウエア）で、最近更新が滞っているのが残念です。将来使用できなくなることもあるかもしれません。Pythonの学習用としても有用です。
各ツール/言語の使い分けについて。
Microsoft Officeの自動化
VBA一択だと思います。PythonやPower Automate for Desktopでもある程度の自動化は可能です。
ブラウザ操作の自動化
VBAは2022年のIE廃止に伴い、IE操作の機能を失います。一応、Web-Driverを操作するなどの方法で、Chromeなどを操作できますが、Pythonを使った方が楽だと思います。Power Automate for Desktopでも可能です。VBAしか使えない方は、sikuliXを勉強し、組み合わせて使う手もあります。
デスクトップアプリケーション
PythonかPower Automate for Desktopが主だと思います。一部のアプリはVBAでも自動化可能です。sikuliXでお手軽に自動化する手もあります。
まとめ
2021年はPower Automate for Desktopの登場、IE廃止の発表など、RPA業界としては激動の一念になりました。2022年はIEの廃止とPower Automate for DesktopのWindows10への標準搭載と、引き続き激動の年になると思います。
業務効率化（RPA）の世界では、VBAを使えれば食べるのに困らない、という状況が何十年か続きましたが、すでにそういう状況ではなくなっていると思います。VBAでも、Accessでシステムを作れる程度になれば、年収1000万円程度の求人も存在します。将来性はある業界です。時代遅れにならないよう、勉強し続ける必要はあると思います。
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